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第196回社会保障審議会介護給付費分科会(3)

お知らせ

2020年12月10日

2020年12月9日に「第196回社会保障審議会介護給付費分科会」(厚生労働省)が開催され、資料として「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」等が示されました。

定期巡回・随時対応サービスを含む全サービスに関わる改定案のうち、特に加算(減算)等に関わることを紹介します。

(1)認知症専門ケア加算等の見直し
認知症専門ケア加算等について、各介護サービスにおける認知症対応力を向上させていく観点から、以下の見直しを行う。
ア 訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、他のサービスと同様に、認知症専門ケア加算を新たに創設する。
イ 認知症専門ケア加算(通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護においては認知症加算)の算定の要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修(認知症専門ケア加算(Ⅰ)は認知症介護実践リーダー研修、認知症専門ケア加算(Ⅱ)は認知症介護指導者養成研修、認知症加算は認知症介護指導者養成研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修)を修了した者の配置について認知症ケアに関する専門性の高い看護師(認知症看護認定看護師、老人看護専門看護師、精神看護専門看護師及び精神科認定看護師)を、加算の配置要件の対象に加える。なお、上記の専門研修については、質を確保しつつ、eラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行う。

(2)特例居宅介護サービス費による地域の実情に応じたサービス提供の確保
中山間地域等において、地域の実情に応じた柔軟なサービス提供をより可能とする観点から、令和2年の地方分権改革に関する提案募集における提案(訪問看護ステーションごとに置くべき看護師等の員数を「従うべき基準」から「参酌すべき基準」とする)も踏まえ、特例居宅介護サービス費等の対象地域と特別地域加算の対象地域について、自治体からの申請を踏まえて、それぞれについて分けて指定を行う等の対応を行う。

(3)処遇改善加算の職場環境等要件の見直し
介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである職場環境等要件について、介護事業者による職場環境改善の取組をより実効性が高いものとする観点から、以下の見直しを行う。
ア 職場環境等要件に定める取組について、職員の離職防止・定着促進を図る観点から、以下の取組がより促進されるように見直しを行う。
・ 職員の新規採用や定着促進に資する取組
・ 職員のキャリアアップに資する取組
・ 両立支援・多様な働き方の推進に資する取組
・ 腰痛を含む業務に関する心身の不調に対応する取組
・ 生産性の向上につながる取組
・ 仕事へのやりがい・働きがいの醸成や職場のコミュニケーションの円滑化等、職員の勤務継続に資する取組
イ 職場環境等要件に基づく取組の実施について、過去ではなく、当該年度における取組の実施を求める。

(4) 介護職員等特定処遇改善加算の見直し
介護職員等特定処遇改善加算について、リーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準の実現を図りながら、介護職員の更なる処遇改善を行うとの趣旨は維持した上で、小規模事業者を含め事業者がより活用しやすい仕組みとする観点から、以下の見直しを行う。
・ 平均の賃金改善額の配分ルールについて、「その他の職種」は「その他の介護職員」の「2分の1を上回らないこと」とするルールは維持した上で、「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」の「2 倍以上とすること」とするルールについて、「より高くすること」とする。

(5) サービス提供体制強化加算の見直し
サービス提供体制強化加算について、サービスの質の向上や職員のキャリアアップを一層推進する観点から、財政中立を念頭に、以下の見直しを行う。
ア 介護福祉士割合や介護職員等の勤続年数が上昇・延伸していることを踏まえ、各サービス(訪問看護及び訪問リハビリテーションを除く)について、より介護福祉士の割合が高い、又は勤続年数が 10 年以上の介護福祉士の割合が一定以上の事業者を評価する新たな区分を設ける。その際、同加算が質の高い介護サービスの提供を目指すものであることを踏まえ、当該区分の算定に当たり、施設系サービス及び介護付きホームについては、サービスの質の向上につながる取組の一つ以上の実施を求めることとする。
イ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護、通所系サービス、短期入所系サービス、多機能系サービス、居住系サービス、施設系サービスについて、勤続年数要件について、より長い勤続年数の設定に見直すとともに、介護福祉士割合要件の下位区分、常勤職員割合要件による区分、勤続年数要件による区分を統合し、いずれかを満たすことを求める新たな区分を設定する。
ウ 夜間対応型訪問介護及び訪問入浴介護について、他のサービスと同様に、介護福祉士の割合に係る要件に加えて、勤続年数が一定期間以上の職員の割合に係る要件を設定し、いずれかを満たすことを求めることとする。
エ 訪問看護及び訪問リハビリテーションについて、現行の勤続年数要件の区分に加えて、より長い勤続年数で設定した要件による新たな区分を設ける。
オ 業務負担の軽減や加算の活用を図る観点から、算定率の高い介護職員処遇改善加算において同様に要件として求められる研修実施、会議開催、健康診断実施の要件について、廃止する。

(6)介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止
介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)について、上位区分の算定が進んでいることを踏まえ、廃止する。その際、令和3年3月末時点で同加算を算定している介護サービス事業者については、1年の経過措置期間を設けることとする。

(1)認知症専門ケア加算等の見直しは、地域に認知症の人の増加が見込まれ、地域包括ケアシステムの推進には認知症の人や家族との共生と予防が必要との考えから(認知症施策推進大綱)、対象となる介護保険サービスが拡大しました。

(2)特例居宅介護サービス費による地域の実情に応じたサービス提供の確保により、特例居宅介護サービス費等の対象地域と特別地域加算の対象地域について、それぞれ分けて指定を行う等の対応を行うことになります。

(3)処遇改善加算の職場環境等要件の見直しで、介護事業者による職場環境改善の取組を一層高めるとともに、(4)介護職員等特定処遇改善加算の見直しでは、取得率の低い特定処遇改善加算について、柔軟な運用ができるようになります。
また、(5)サービス提供体制強化加算の見直しについて、職員を長期雇用している場合の加算や、要件の緩和が盛り込まれており、(3)(4)(5)全体として職員の職場環境・賃金の改善を推進する施策になっています。
一方で、(6)介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止では、上位区分の算定が進んでいることから廃止になります。

まだ、案の段階ではございますが、特に大きな変更等がなければ、令和3年度に上記の内容に改定されると思われます。
加算(減算)は、次年度の予算計画に大きく影響するので、参考にしてください。

<参考>
第196回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15275.html

<関連トピックス>
第196回社会保障審議会介護給付費分科会(1)
第196回社会保障審議会介護給付費分科会(2)