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第5回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」資料
2025年10月22日
令和7年10月21日、厚生労働省より「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」資料が公開されました。
厚生労働省の「社会保障審議会 医療保険部会」の下に設けられた「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」は、医療費の自己負担が家計を圧迫しないよう制度を見直すため、患者団体・保険者・医療関係者・学識経験者などで構成されており、2025年5月から意見交換やヒアリングを重ねています。主な目的は、「誰もが安心して医療を受けられるセーフティネット」としての制度の強化と、現状の課題の明確化です。
■日本の医療保険制度改革と高額療養費制度の見直しについて
1.改革の背景と目的
背景: 現役世代の急速な減少、高齢者数のピークを迎える2040年頃を見据え、医療費の増大(国民医療費の対GDP比の増加や高額レセプトの増加)に対応する必要がある
目的: 現役世代の負担を軽減しつつ、年齢に関わらず能力に応じて負担し、支え合う「全世代型社会保障」の構築が不可欠とされている
2.議論の主な焦点
(1)高齢化・医療の高度化による増大医療費への対応
- 医療費が増大する中で制度を維持するため、自己負担限度額について一定の見直しが必要ではないか
。 - 高額薬剤の効果検証や、保険給付範囲(OTC類似薬、低価値・無価値医療の抑制など)の見直しが必要ではないか。
(2)年齢にかかわらない負担能力に応じた負担の実現
- 70歳以上の高齢者のみに設けられている外来特例のあり方を見直すべきではないか。
- 現行制度で大括りとなっている所得区分を細分化し、より負担能力に応じた負担とすべきではないか。
(3)セーフティネット機能のあり方
-
- 自己負担限度額を見直す場合でも、長期にわたり継続して治療を受ける方や所得が低い方の負担が過重にならないよう配慮すべきである。
- 多数回該当のカウントが保険者変更で引き継がれない点や、医療費の「見える化」による患者のコスト意識醸成が課題として挙げられている。
3.見直しの方向性(案)
(1)自己負担上限額の引上げ
- 各所得区分ごとの自己負担限度額を、平均給与の伸び率(約9.5%〜12%)などを踏まえ引き上げを検討する(例:平均的な所得層で+10%)。
- 低所得者層へ配慮し、引き上げ幅を抑える。
(2)所得区分の細分化
- 住民税非課税区分を除く各所得区分をさらに3区分に細分化し、所得に応じた上限額設定を実施する(激変緩和措置として2段階で引上げ)
。
(3)外来特例の見直し
- 70歳以上固有の外来特例を見直し、年間上限額の引き上げや、住民税非課税区分のうち年間収入が80万円以下の区分は上限額を据え置く案が示されている
。
詳細は以下よりご確認ください。
・第5回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65037.html



